嘘の誓いとLOVE RING
半ば強引にエレベーターに乗り込むと、面食らった凌祐が私に声をかけてきた。
「どうしたんだよ、美亜。まだ、来たばかりだろ?」
「ごめんなさい、凌祐。初めてで緊張しちゃった」
本当に申し訳ないと思うけれど、あのまま敦貴と顔を合わせるのが嫌だった。
「まさか、何か嫌みでも言われたか?」
心配そうに顔を覗き込まれ、慌てて首を横に振る。
「確かに嫌みは言われたけど、そんな事はどうでもいいの。それより、水川社長って、どんな人なの?」
そう聞くと、凌祐は納得した顔をしたのだった。
「水川社長の勢いに圧倒されたんだな。彼は、ベンチャー企業の社長なんだ。たった二年で、業界のトップレベルにのし上がった実力者だよ」
「知らなかった…」
敦貴のその後を知ろうとしなかったとはいえ、全く知らなかった自分が情けない。
凌祐も圭祐も、とっくに敦貴を知っていたというのに。
「美亜にとっては、興味のない分野なのかもしれないな」
「うん…。ねえ、それとLOVE RINGって知ってる?」
凌祐が敦貴について、一体どこまで知っているのか。
それを確かめたくて聞いてみると、アッサリと答えてくれたのだった。
「知ってるよ。夫人たちの間で、妙に流行ってるみたいだ。婚約指輪でも、結婚指輪でもない指輪の事だろ?それを見せ合うっていう…」