嘘の誓いとLOVE RING
凌祐までも知っていたとは。
驚きで呆気に取られていると、エレベーターが開いた。
凌祐に連れられる様にホテルを出ると、駐車場に向かう。
「知っていたんだけど、あえて美亜には黙ってたんだ。ごめんな」
「ううん…。それは、いいのよ」
どのみち、知っていたところで指輪がない。
凌祐が、気を遣って話してくれなかったのが分かるから、それについては何も思わなかった。
「だけど、何でLOVE RINGなんか持っていかないといけないんだろ」
私の問い掛けに、凌祐は肩をすくめた。
「それなんだよな。ここ1、2ヶ月くらいの話なんだよ。集まりが頻繁に開かれて、水川社長が突然提案し始めて…」
ため息混じりの凌祐からは、“指輪の見せ合い”を、バカバカしいと感じている雰囲気が見て取れる。
「じゃあ、最近の事なんだ?」
「そうだよ。昔の恋人と結婚の約束をしたけど、それが叶わなくて後悔しているからとか。だから、幸せになっている夫人たちのエピソードを聞かせて欲しいとか。よく意味が分からないな」
凌祐は車を開けると、私を乗り込ませた。
何かが引っ掛かる。
今まで音沙汰もなかった敦貴が、まるで私に未練たらたらなのが。
何かある気がして仕方なかった。