嘘の誓いとLOVE RING


車の中で、ひたすら考えていた。

敦貴から別れを切り出して、今まで一度も私と接触してこなかった。

それが、再会してみたらあんなに未練がましい事を言い、挙げ句にはLOVE RINGの話までする。

一体、何が目的なのだろう。

私には、純粋な未練があっての行動だとは思えなかった。

「美亜、何か唸ってるな」

ハンドルを握る凌祐が、横目でチラリと見た。

「うん…。ちょっとね。ところで、圭祐から聞いたんだけど、水川社長が…」

“圭祐”の名前を口に出し、その存在を忘れていた事に気付いた。

「そういえば、圭祐は!?」

「ようやく思い出したか」

呆れた顔の凌祐に、私は小さくなるばかりだ。

「すっかり、忘れてた…」

会場まで連れて行ってくれたのは圭祐だというのに、その恩を忘れるなんて敦貴に振り回されている証拠だ。

「あいつが仕事になって、早めに終わった俺が代わりに来たんだよ。美亜によろしくって言ってた」

「そうなんだ。圭祐には改めてお礼を言っておく」

何とか取り繕った私を、凌祐は呆れた目で見た。

「それはそうと、水川社長が何って?」

「そうそう。かなり中心的な存在みたいに圭祐は言っていたけど、一体どういう事なの?」

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