嘘の誓いとLOVE RING
敦貴の口ぶりは、私がまるで凌祐にやましい事がある様に聞こえる。
「別に困らないわよ。その方が、割り切った会話が出来ていいんじゃない?」
「本当か?俺はそれでもいいけど、美亜にとっては損じゃないかな?」
敦貴はいつの間に、こんな腹立たしい言い方を覚えたのだろうか。
付き合っていた頃は、こんなに人をバカにする様な言い方など、していなかったはずだ。
一体、敦貴の目的は何なのだろうか。
「私が損って何よ。敦貴に、目の前をウロチョロされる方が損だわ」
「へぇ。そういう事を言うのか。美亜は、浅井社長にすっかり染められているな」
「どういう意味よ?」
どんどんケンカ腰になる私を、敦貴はまともに受け止めない。
それどころか、ますますバカにする様な言い方をしたのだった。
「社長への建前で、俺を拒絶してるんだろ?健気だよな美亜は」
「何よそれ。バカにしてる?」
私に会いたくて来たわけじゃないと、今はっきりと分かった。
真意は正直分からないけれど、私と凌祐の仲にヒビを入れようとしているみたいだ。
「バカになんかしてないよ。社長は、美亜に大きな隠し事をしてるのに、美亜は健気に想ってて、気の毒にすら感じてるんだ。だから、今日は忠告に来た」