嘘の誓いとLOVE RING
佐倉さんが、凌祐の子供を妊娠?
頭の中で想像しながら、真剣な目をする敦貴を前 に吹き出した。
「あのね、敦貴。私に嫌がらせをしたい気持ちは分かるわ。だけど、どうせつくなら、まともな嘘をつきなさいよね」
バカバカしくて、疑う気にもなれない。
だけど敦貴は、表情一つ変えなかった。
「本当だって。きっと社長は、佐倉さんの妊娠くらいは教えてくれると思うよ。だけど、それ以上は言葉を濁すだろうな」
「ちょっと…、本気で言ってるわけ?」
「当たり前だよ。俺だって暇じゃないんだ。疑うなら聞いてみろ」
どうやら、妊娠は本当らしい。
それは、すぐに確かめられるけれど、相手が誰かなんて本人にしか分からないはずだ。
「じゃあ、仮に本当だとしても、どうして敦貴が佐倉さんの相手が凌祐だと知ってるの?」
「社長の周りには、俺の知り合いがいるから。まあ、スパイみたいなものだな。あの二人、関係がずっと続いてる」
「…嘘よ。やっぱり、信じられない」
いつか、凌祐と佐倉さんが話してくれた事が、嘘だとは思えなかった。
「美亜、いい加減目を覚ませよ。社長は立場上、不規則な時間で動ける人だろ?いつも、それを仕事に費やしてるわけじゃない」
敦貴はまるで説得するように、私の両肩を掴んだのだった。