嘘の誓いとLOVE RING


敦貴が言うには、これから凌祐の留守が増えるという事だ。

それは、佐倉さんと過ごす時間を増やす為だとか。

だけど、そんな話はやっぱり信じ難い。

「美亜、何かあったら連絡して。俺は相談に乗るよ。はっきり言って、社長との結婚なんて身売りと同じだ。早く自由になるべきだよ」

そして、携帯の番号を書いた紙を差し出すと、仕事へ戻ったのだった。

メモ用紙を持ち、しばらく佇むしかない。

もし、これが嘘だとしたら、ますます敦貴の本心が分からない。

ただ、私を取り戻したいとか、そんなロマンチックな理由はなさそうだ。

むしろ、単純に私たちの仲を引き裂きたい、そんな悪意を感じる。

でも、それが何故かが分からない。

そして、もし敦貴の言った通りだとしたら?

本当に佐倉さんとの仲が続いていたら…?

もう、あんな辛い思いはしたくない。

夜空を見上げて泣いた自分を思い出し、凌祐に聞いてみる事にしたのだった。

もちろん、敦貴から聞いたなどとは言わずに…。

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