嘘の誓いとLOVE RING
その日の凌祐は、思ったより遅く帰宅した。
そんなのは日常茶飯事なのに、敦貴の入れ知恵のお陰で、少なからず怪しく感じるから嫌になる。
「ただいま、美亜」
だけど、いつもと変わらない凌祐は、ご機嫌良くキスをしてきた。
「いい子にしてたか、美亜?もし、毎日暇なら何か始めたらいいよ。趣味でも何でも、好きな事をしたらいい」
「う、うん。ありがとう」
鼻歌を歌いながら、凌祐は服を着替えている。
今夜は、どうしてこんなに機嫌がいいのだろう。
「ねえ、凌祐。佐倉さんは元気?」
思い切って聞いてみると、凌祐の手が止まった。
その反応に、緊張が走る。
「ああ、元気だよ」
返ってきた返事は、そんな素っ気ないものだった。
「ふぅん。じゃあ、今度遊びに来てもらったら?私も会いたいのよ。仕事を辞めてから、佐倉さんに全然会えていないんだもの」
凌祐は、どう答える?
鼓動が速くなるのを感じながら、その返事を待っていると、少し困った様な顔をされたのだった。
「それは、難しいかな」
「な、何で?」
すると、凌祐は一呼吸置いて答えたのだった。
「あいつ、辞めるんだ。だから、ちょっと…」