嘘の誓いとLOVE RING


凌祐は、今まで仕事の話などしてくれなかったのに、私が秘書を辞めてからは話す事が増えてきた。

それが嬉しくて、佐倉さんへ抱いていた嫉妬も、いつの間にか消えていったのだった。

そんな凌祐を、疑いたくないのに…。

「美亜、愛してるよ」

私を抱く凌祐から、“愛してる”、その言葉が出てくる様になったのも最近だ。

何もかもを素直に受け止めて、そこに幸せを感じていたというのに…。

敦貴の情報は、どこまでが真実なのか。

ベッドをきしませ、オレンジ色の薄明かりの部屋で体を絡めせ合いながら、凌祐は私を見下ろしている。

「なあ、美亜。お前、子供欲しい?」

「え?どうしたの?急に…」

まだまだ、絶頂にはほど遠いタイミングで、凌祐はそんな事を聞いてきた。

「うん、何となく…」

それは、佐倉さんの事と関係があるのか。

そんな勘繰りを入れてしまう。

「凌祐は?」

「俺?俺は…、まだいいかな。子供は欲しくない」

その言葉に、強くショックを受ける自分がいた。

決して、子供を望んでいるわけではない。

ただ、佐倉さんのオメデタの話を聞いた後に、言われたいセリフではない。

“どうして欲しくないの?”

それは聞けなかった。

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