嘘の誓いとLOVE RING
と、息巻いてみたものの、簡単には敦貴に電話は出来ない。
それに、突然の訪問以来、音沙汰無しになっている。
それが余計に不気味ではあるけれど、時折、佐倉さんの事を忘れるきっかけにもなっていた。
忘れてはいけないけれど、知らなければ知らないで、今でも幸せだけを感じていられたのに…。
「なんて、思っちゃダメよね」
ため息を一つつき、凌祐のプライベートルームのドアをノックする。
今日は半休で、午後から出勤らしい。
何やら、新製品の開発があるとかで、部屋に篭って何かをしている様だった。
「凌祐、コーヒーを持ってきたんだけど」
「ありがとう。いいよ、入って」
その言葉を確認してからドアを開けると、パソコンとにらめっこをしている姿があった。
何か部品らしき物が、3Dで表示されている。
「これ、何…?」
「ああ、これ?実は、まだ未発表のものだけど、タブレット製造に必要な部品でさ。これで、もしかすると、今までにはない速さで、ネットの接続が出来るかもしれないんだ」
「ネットの接続!?」
アナログな私では、到底理解が出来ないけれど、よほど画期的な物らしい。
「凄いだろ?これが成功すれば、会社にとっては大幅な利益増に繋がるよ」