嘘の誓いとLOVE RING
裏切り
「知ってたの?いつ?」
圭祐なら、何かを知っているのではないか。
そう思って、少しでも情報を聞きだしたいのだけど、圭祐の返事はハッキリとしないものだった。
「ああ、最近な。兄貴から聞いて。それより、兄貴は?もう出た?」
「あ、うん。ついさっき。凌祐に用事だったの?」
「そうなんだよ。兄貴、今日は何時に帰って来るかな?」
「遅くなるみたいだけど…」
仕事の用事なのか、直接聞けばいいものの、わざわざ私に電話をしてきたのはなぜだろう。
「遅くなる?おかしいな…。そんなに、仕事は立て込んでないはずなのに」
「え?だって…」
新製品の開発は?
会社の大幅な利益に繋がる開発の話を、圭祐が知らないはずがない。
「まあ、いいか。それより、兄貴から聞いたよ。美亜、さっそく水川社長と挨拶したんだって?さすがだな。あの人は、いろんな事を知ってるからなぁ。じゃあ、俺も仕事だから、またな」
と言って、携帯は切れたのだった。
「ちょっと…。まさか、敦貴の言っている事は本当なの?」
チェストにしまったメモを取り出し、ほとんど感情的に敦貴に電話をしたのだった。