嘘の誓いとLOVE RING


「えっ?」

思わぬ言葉に、料理に伸ばした手を引っ込めた。

すると、敦貴は照れ臭そうに答えたのだった。

「この間は、ほとんどヒガミで言っただけなんだ。確か今、社長は何か重要な仕事を抱えてるんだよな?」

「敦貴、知ってるの!?」

圭祐ですら知らない感じだったのに、敦貴が知っているとは驚きだ。

そこまでの情報網に感心する。

「もちろん知ってるさ。社長の行動は、注目されるからな。で、今回は何だっけな…。確か、あれだよあれ」

「新製品の開発でしょ?タブレットとかの処理速度が速くなるとかいう…」

ああ、そうか。

IT業界の敦貴にとって、処理速度が速くなるタブレット類の開発は、気になる分野に違いない。

だから知っているのか。

それに、凌祐の周りにスパイ的な人がいるとか言っていたけど、そういう動向を探っていたのかもしれない。

「ああ、そうだよ!それ、それ。まだ、完成はしていないんだろうな。仕事で遅くなるというくらいなんだから」

敦貴は料理を口にしながら、テンションが上がっている。

「きっとね。だけど、やっぱり自分の業界に関係がある事だから、気になるんだ?」

「当たり前だよ。浅井社長のお陰で、俺にも利益がもたらされるわけだからな」

< 203 / 220 >

この作品をシェア

pagetop