嘘の誓いとLOVE RING
「えっ?」
思わぬ言葉に、料理に伸ばした手を引っ込めた。
すると、敦貴は照れ臭そうに答えたのだった。
「この間は、ほとんどヒガミで言っただけなんだ。確か今、社長は何か重要な仕事を抱えてるんだよな?」
「敦貴、知ってるの!?」
圭祐ですら知らない感じだったのに、敦貴が知っているとは驚きだ。
そこまでの情報網に感心する。
「もちろん知ってるさ。社長の行動は、注目されるからな。で、今回は何だっけな…。確か、あれだよあれ」
「新製品の開発でしょ?タブレットとかの処理速度が速くなるとかいう…」
ああ、そうか。
IT業界の敦貴にとって、処理速度が速くなるタブレット類の開発は、気になる分野に違いない。
だから知っているのか。
それに、凌祐の周りにスパイ的な人がいるとか言っていたけど、そういう動向を探っていたのかもしれない。
「ああ、そうだよ!それ、それ。まだ、完成はしていないんだろうな。仕事で遅くなるというくらいなんだから」
敦貴は料理を口にしながら、テンションが上がっている。
「きっとね。だけど、やっぱり自分の業界に関係がある事だから、気になるんだ?」
「当たり前だよ。浅井社長のお陰で、俺にも利益がもたらされるわけだからな」