嘘の誓いとLOVE RING
何で、美味しいなんて言ったのだろう。
それも、完食までして…。
口に入れた瞬間は、間違いなく固まっていた。
だから、絶対に辛くて食べれた物じゃなかったはずなのに。
凌祐は食べ終わった食器を、食洗機に入れた。
「ごちそうさま美亜」
「う、ううん」
優しい笑顔の凌祐を見ると、急激に罪悪感に襲われた。
もしかして、私に気を遣ってくれたのか。
凌祐は、ハンガーに掛かっているジャケットを手に取ると、私の方をに目を向けた。
「今夜は遅くなりそうなんだ。美亜は先に寝てくれていいから」
「え?遅くなるの?」
「ああ。ちょっと仕事が立て込んでいるんだ。晩御飯も、用意しなくていいから」
「そう…」
忙しくて、晩御飯もいらないなら、朝食くらいちゃんと作るべきだった。
「行ってらっしゃい」
社長といっても、“重役出勤”ではなく、凌祐の出勤は朝が早い。
という事を、今知った。
それなのに、帰りは遅いなんて…。
自己嫌悪に陥る私の様子に気付いた凌祐が、優しく頭を撫でた。
「どうしたんだよ?突然、元気を無くして」
「ううん。何でもない。行ってらっしゃい」