嘘の誓いとLOVE RING
すると、凌祐もわざとらしく安堵の表情を見せた。
「それなら良かった。実は、妻に話した内容は、まっかなでたらめだったんですよ」
「でたらめ?」
敦貴の表情が、少し強張ったのが分かる。
「はい。ちょっとした悪戯心で言ったものだったので、妻が話していないならいいんです。でも、どうやって、そんな部品を開発されたんですかね?部品程度で、処理速度が速くなるわけもないし…」
凌祐は今度は私に目を向けた。
「そういう事みたいだ。美亜が喋ったわけじゃなかったんだな。疑って悪かったよ。帰ろう」
「えっ!?」
帰る?
まだ指輪を返していないというのに。
戸惑いながらも、凌祐と同じく立ち上がると、敦貴が低い声で聞いてきた。
「今言った事は本当なのか?」
ゆっくりと顔を上げた敦貴は、怖いくらいの険しい表情をしている。
「ああ…。ずっと、うちの会社を探ってたよね?お見通しなんだよ。美亜から聞き出して、ライバル会社に横流しをしたんだろ?」
凌祐からも笑顔は消え、優しい口調はドスのきいた声に変わっていた。
「可哀相にな、あの会社も。どうするんだよ?嘘の情報を流して。部品開発のやり方も、盗む気だったんだろ?」
顔を近付けて、凌祐は敦貴に畳み掛けた。
そしてその敦貴は、言葉を失っていたのだった。