嘘の誓いとLOVE RING
呆然としている敦貴は、視線を宙に浮かせたまま、呟く様に口を開いた。
「美亜は…、昔から単純なんだ。ちょっとでも、精神的に揺さぶりかければ、大事な事も口を滑らす…。だから、あんたの秘書の話を言ったんだ…」
昔から単純!?
聞き捨てならない言葉にも、凌祐の無言の制止で聞き流さざる得ない。
それにしても、どこまでも腹立たしい。
「あ、もう一つ言わないとな。その情報も、作り話なんだ。あんたが、美亜に言うだろうと見越して、わざと流した情報だよ」
凌祐の追い打ちかける言葉に、敦貴は絶句している。
その敦貴に、私はバッグから指輪を取り出し、それを握らせた。
「返しそびれてたLOVE RING。返すね」
そして凌祐と部屋を出ようとした時、敦貴が叫ぶ様に言ったのだった。
「美亜が…、美亜が悪いんだよ。何であの時、すんなり別れた?俺は、ずっと側で支えてくれると思ってたのに」
振り向くと、敦貴の顔は紅潮している。
相当、頭にきているのか。
「だって、敦貴は仕事に集中したいって言ったじゃない?私は、敦貴の気持ちを大事にしたかっただけよ」
それでも、気が晴れないのか、敦貴は私に掴みかかろうとした。
「俺は、美亜をよく知ってるんだー!」
だけど、それより一瞬早く、凌祐が敦貴を突き飛ばしたのだった。