嘘の誓いとLOVE RING


車を降りると、海風が心地好く頬をかすめた。

波は太陽の光を反射して、眩しいくらいに輝いている。

「気持ちいい」

波打ち際まで降りたところで、凌祐が抱きしめてきたのだった。

「りょ、凌祐…。人に見られちゃうよ?」

「大丈夫だよ。車は滅多に通らないし、少し下にあるから道路からは見えない」

甘く温かい胸に顔を埋めていると、心から安らぎを感じる。

しばらく抱きしめ合った後、凌祐はジャケットの内ポケットから、小さな箱を取り出した。

「それって…」

そして、その箱が開いた時、輝く指輪が見えたのだった。

「指輪!?何で?」

その指輪は、流れる様な曲線のリングに、サファイアブルーが輝いているものだった。

「水川社長はもういないけど、LOVE RINGってやつ、俺も美亜に贈りたくてさ」

結婚指輪の上へ、凌祐はその指輪をはめてくれた。

「あ、ありがとう…」

まさか、指輪を贈られるとは思っていなかった。

凌祐の優しさに、泣きそうなくらいに胸が熱くなる。

「目の前の海と同じ感じだろ?これからの俺たちの未来が、海の様に大きく、そして明るいものになる様にって、そんな願いを込めてみたんだ」

「凌祐…、本当にありがとう」

不覚にも涙を流した私を、凌祐は優しく微笑みながら見つめたのだった。

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