嘘の誓いとLOVE RING
――どこからともなく、携帯の着信音がする。
シンプルなベル音。
…ん?
この音は、私の携帯だ。
「寝てた!」
掃除だの片付けだのを済ませた後、いつの間にか眠っていたらしい。
「うそ!もう夕方?」
窓からは、夕焼け空が見えている。
昼食を取る事も忘れ、ずっと寝てしまっていたのだ。
慌てて起きると、テーブルに置きっぱなしになっていた携帯を手に取る。
すると、それはお父さんからの着信だった。
「もしもし。お父さん?何?」
一体、何の用事があってかけてきたのだ。
こんな強引な結婚をさせて、まだお父さんへ対する恨みもある。
思い切り無愛想に出ると、電話の向こうで開口一番、叱られたのだった。
「お前は、凌祐くんに対して何をやってるんだ!」
「ちょっと、何よいきなり」
思わず携帯を離したくらい大きな声だ。
するとお父さんは、興奮気味に続けたのだった。
「美亜、朝ご飯に何を作った?」
「えっ!?」
何で、お父さんがそんな事を聞くのだろう。
「塩たっぷりの卵焼き、作ったんだってな?」
何故をそれを知っているのか、一瞬そう思ったけれど、それはすぐに凌祐が言ったのだと気付いた。
「スクランブルエッグよ!ていうか、凌祐ってば告げ口したわけ?」
こちらも熱くなると、お父さんに怒鳴られた。
「告げ口じゃない!お前は、何を考えているんだ!」