嘘の誓いとLOVE RING
300人もの来賓を迎えての披露宴も終わり、すっかり疲れきった私は、着替えを済ませると、控え室でテーブルに顔を伏せていた。
「おい、おい。美亜。もう寝てるのか?」
同じく着替えを終えた凌祐は、シャツにパンツというシンプルな格好で入ってきたのだった。
「寝てるわけないでしょ!疲れただけ。あんなに人がいるんだもん」
300人て何よ。
ほとんど、顔も分からなかったくらいだ。
「仕方ないだろ?ほとんどが仕事関係なんだからさ」
分かってる。
凌祐は、何てったって大企業の社長だ。
結婚式ともなると、大規模になるのは理解出来る。
だけど、愛のない結婚の為に、あれだけの人が来てくれたのかと思うと、心苦しかった。
それが余計に、疲労感を感じさせたのだった。
「そうだ美亜。これ、書いておいて。帰りに出そう」
「ん?」
凌祐が目の前に置いた一枚の紙。
それは、婚姻届だった。
すでに凌祐のサインと、証人欄にお父さんたちのサインがある。
残るは私だけ。
「これ、書くの?」
「当たり前だろ?」
そう。
当たり前といえば、当たり前だけど…。
「これ書いたら、本当に夫婦になっちゃうじゃない!?」
思わず声を上げた私に、凌祐は不快感いっぱいに答えたのだった。
「たった今、結婚式を終えたばかりだろ?いい加減、諦めて書けよ」