嘘の誓いとLOVE RING
デスクチェアに深く座った圭祐は、パソコンに目をやり何かを打ち始めた。
副社長室は、デスクの後ろが大きな窓になっていて、53階という高さから景色が一望出来た。
それも、海が近い為に、太陽の光が眩しく反射するその地平線が、よく見えるのだった。
その上、濃い茶色のデスクを始め、本棚に来客用のソファーにテーブルといった家具が同じ色で統一されているからか、妙に落ち着く部屋だ。
この副社長室は、本社にあるのだけれど、自社ビルではなく、数十社の企業か入っている。
その中でも、本社は4フロア分あり、社長室と副社長室は同じフロアに位置していたのだった。
つまり、凌祐も同じフロアにいるという事なのだ。
立ち尽くすしかない私を、圭祐は気に留める事なくパソコンを打っている。
これは、私から折れなければ、ずっと声なんかかけてくれないだろう。
相手が圭祐なだけにシャクだけれど、余計な感情を押し込めた。
「すいませんでした。仕事を教えてください。一生懸命やりますから」
大袈裟な様で真剣な、一世一代の謙虚な姿勢を見せたつもりが、鼻で笑われてしまった。
「棒読みだ、美亜」