嘘の誓いとLOVE RING
チラリとパソコンから目を向ける圭祐は、言葉を失う私をたしなめる様に言った。
「美亜はまだ25歳だろ?社会人としては、まだまだヒヨコだ。もっと、教えてもらう立場って事を自覚しろよ」
「はい…」
まったく、黙って聞いていれば腹が立つ。
圭祐の言っている事は正論だと分かっているけれど、何もそこまでハッキリと言わなくてもいいではないか。
どうして望んでもいないのに、こんな目に遇わなくてはいけないのか。
結局、元を辿ると結婚が全ての元凶なのだ。
そう思うと、やっぱり結婚をやめるべきだったと後悔する。
「じゃあ、仕事を教えるから。後は自分で工夫しながらやれよ」
「はい」
もしこれが、凌祐の秘書だったらどうだったのだろう。
なんて、何を考えているのか。
もしかしたら、圭祐よりは優しく教えてくれたのではないか、そう思う自分に疑問が沸いた。
そういえば、凌祐は結婚をしてから、なぜ私にあんなに優しくなったのだろう。
それまでは、本当に無愛想で優しさなんてなくて、 顔を合わせれば「高校生が、こんな遅くに帰宅か?」だの、口うるさい事を言っていた人なのに。
どうしてだろう…。