嘘の誓いとLOVE RING


圭祐に教えて貰った仕事内容は、やる前からため息が出てしまうものだった。

朝一番の掃除から始まり、電話に来客応対。

それにスケジュール管理に資料作成。

車の手配から公共機関の切符の手配。

そして出張があった際は、ホテルの予約など、とにかく多岐に渡る。

そのどれもが、一つ一つは雑用レベルに思えるものなのに、失敗は許されないプレッシャーのかかるものだった。

私が使う秘書室は、副社長室の入口より前にあり、来客も秘書室を通らなければ副社長室へは行けない造りになっていた。

一応は、圭祐と顔を合わせないでいられるのだから、それだけが救いだ。

「ああそうだ、美亜。言い忘れていたけど、給湯室の掃除は、美亜の役目だからな。今までは佐倉さんがやってくれてたけど、今日からはお前がやって」

デスクで仕事の準備をしていると、圭祐が声をかけてきた。

「サクラさん?」

「そう。佐倉唯香(さくら ゆいか)さん。兄貴の秘書だよ」

秘書?

佐倉さんて人が、凌祐の秘書なのか。

一体、どんな人なのだろう。

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