嘘の誓いとLOVE RING
社長秘書、佐倉さん
パソコンを広げると、重役の秘書にだけ閲覧可能なスケジュール帳があった。
それは、オンライン管理されているもので、社長と副社長、それに専務などの役員のスケジュールが見られるものだ。
“浅井社長”と書かれたタブをクリックすると、そこにはカレンダーと日毎のスケジュールが入力されている。
そしてカレンダーの上の部分には、“社長秘書、佐倉唯香”とその内線番号が書かれていたのだった。
こうやって見ると、凌祐は毎日忙しい日々を送っているのが分かる。
該当の日付をクリックすると、さらに階層が下がり、詳しいスケジュール内容が記されているのだった。
連日、会議に打ち合わせにと、何かと業務が入っていて忙しい。
それを、毎日こなしているのかと思うと、かえすがえすも“塩たっぷりスクランブルエッグ”を後悔せずにはいられない。
そして、その凌祐を支えている人、それは秘書の佐倉さんなのだ。
一度、ちゃんと挨拶くらはしたいな…。
ん?
そうだ。
今日から赴任だというのに、挨拶もしていないなんて失礼な話。
どうせ、同じフロアなのだから、ササッと行って帰ってくればいいのだ。
「よし!行こう!」
思い立ったら即行動。
立ち上がった私はドアを開け、急いで社長室へと向かったのだった。