嘘の誓いとLOVE RING
「確か、3年前からだよ。兄貴が社長に就任してからだから」
「じゃあ、最初から一緒だったって事?」
3年前といえば、凌祐が今のマンションへ移った頃だ。
そんなに前から二人は一緒なのか。
それも、一日のほとんどを一緒にいるのだから、凌祐が呼び捨てで呼ぶのも頷ける。
それだけ、二人の関係は固いものに違いない。
「佐倉さんは、本当に素敵だろ?今年で30歳になったんだけど、大人な女って感じがするし、役員からの評判もいいんだよ」
「へえ~」
確かに、さっきも私と圭祐のまさに“痴話喧嘩”を、上手にたしなめたくらいだ。
きっと、仕事もスマートにこなすのだろう。
「だから、いろんな噂があったよ。佐倉さんが兄貴の結婚相手になるんじゃないかとかさ」
笑いながらそう言った圭祐は、次の瞬間真顔に戻り、私を見た。
それはまさに、“余計な事を言ってしまった”と言わんばかりの顔だ。
それを察した私は、どこか気に障りながらも、努めて平静を装ったのだった。
「お構いなく。元々、私たちは好き合ってる者同士じゃないから」
そして、「仕事に戻ります」と言って秘書室へ戻ったのだった。