嘘の誓いとLOVE RING
結婚相手か…。
凌祐がもし、佐倉さんと結婚をしたら…。
並ぶ二人を想像すると、ため息が出るほど絵になる。
私の様な子供ぽい女とより、ずっとお似合いだ。
言い付け通り、時間を見計らって給湯室の掃除をしていると、そんな余計な事を考えてしまっていた。
ここは、恐らく凌祐と圭祐しか使わないのだろうから、特に汚れはない。
小さな窓からは、オフィス街が見えるだけ。
何の変哲もない、どこのオフィスにでもある給湯室だった。
ため息混じりに、ふきんを洗おうと蛇口をひねろうとした時、
「ダメよ!やけどする!」
と、背後から佐倉さんの声がした。
「佐倉さん!?」
驚いて振り向くと、佐倉さんが慌てて駆けよって来た。
「危なかった。こっちのお湯は、熱湯が出るのよ。やけどするところだったわ」
「そうなんですか?ありがとうございます。教えていただいて」
すると、佐倉さんはホッとした顔で首を横に振った。
「ケガでもしたら、社長が心配するもの」