嘘の誓いとLOVE RING
一歩も引かない凌祐の腕に、佐倉さんはそっと触れた。
「社長、美亜さんがおっしゃっているのですから」
そう言われて、凌祐は渋々引いたのだった。
「圭祐、ちょっと…」
歩きだそうとした圭祐を呼び止める。
「何だよ?」
あからさまに不満な顔を向けられたけれど、こういう時は、出来れば普通に接して欲しい。
わざわざ、凌祐たちの前で呼び止めたのだから、何かあると思わないのか。
すると、凌祐も立ち止まり、私たちの様子を伺っている。
仕方ない。
わざとらしい言い訳だけれど、これしか理由が思い浮かばなかった。
「忘れ物したの。一緒に戻って!」
「はあ?そんなもの、自分で行けばいいだろ?鍵があるんだからさ」
けだるそうな口調と、空気を読まない圭祐に、苛立ちを覚える。
「まだ慣れてないんだから!一緒に来てくれてもいいでしょ?」
と、半ば強引に圭祐を副社長室まで引っ張ったのだった。
そんな私を、凌祐は怪訝な顔で、そして佐倉さんも不審そうに見ていた。