嘘の誓いとLOVE RING


「ただいま」

凌祐より後に帰るのは不思議な気分だ。

玄関を入るとすぐ、髪を拭きながら出迎える姿があった。

「お帰り美亜。遅かったな」

「うん?そうかな?」

なんて、とぼけてみせる。

すると、凌祐はあからさまに不快な顔をした。

実は、圭祐に車で送ってもらったのだけれど、思わぬ渋滞で時間がかかってしまったのだった。

徒歩圏内に住んでいるのだから、歩けば良かったのだけど、佐倉さんの話をしたくて車に乗り込んだというわけだ。

期待した以上の話は出来なかったけれど、圭祐が何かを知っている事に気付いた。

今はそれを隠しているようだけど、必ず聞き出さなければ。

ルームウエアに着替えている凌祐は、お風呂を終えたところらしい。

「私もお風呂に入るね」

と、凌祐とすれ違ったところで腕を掴まれた。

「ど、どうしたの?」

心臓が跳ね上がりそうとは、この事だ。

それほど、やましさはないつもりなのに、密かに探りを入れようと決めたからか、妙に凌祐を警戒してしまう。

「美亜。お前、圭祐の車に乗って帰ったか?」

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