嘘の誓いとLOVE RING
ベッドルームへ入ると、凌祐がベッドの中で何やら雑誌を読んでいる。
「凌祐、何を読んでるの?」
さっきの気まずい空気を消そうと、あえて普通に声をかけてみると、
「雑誌」
と、素っ気ない返事が返ってきた。
それくらい、見れば分かる。
会話のネタに聞いただけなのに、10歳も年上の割には、大人げないったらない。
「もちろん、見れば分かるけど、どんな内容なのかなぁって…」
引き攣る笑顔を浮かべて、凌祐の隣に潜り込んだ。
どうやら、ビジネス雑誌の様だ。
すると、凌祐は雑誌を乱暴に閉じて、私を睨む様に見たのだった。
「美亜にしては珍しく、しおらしい感じで声をかけてくるんだな?」
「どういう意味よ?」
“珍しくしおらしい”とは失礼な話だ。
確かに、嫌がらせをしたりはしたけれど、そんなに可愛いげがないイメージなのか。
「何か、うしろめたい事があって誤魔化してるんじゃないか?」
「うしろめたい事なんてないわよ」
と言ったけれど、もちろんそれはある。
佐倉さんの事だ。
圭祐と探りを入れようと決めた事は、凌祐には知られたくない。