嘘の誓いとLOVE RING
別に凌祐に対して愛情があるからではなくて、“人”として疑問を持たれるのは不本意だからだ。
「それに、どうして私が凌祐に対して後ろめたさを感じるのよ。私たちは愛のない結婚をしたの。隠すも何もないじゃない」
自分としては、深刻に考えないつもりで言ったのに、凌祐は険しい顔のまま「ああ、そうかよ」と言って、背中を向けてふて寝をしてしまったのだった。
その姿はまるで子供だ。
35歳の大人の男がする事ではない気がする。
「ちょっと凌祐ってば、そんな子供じみた真似をしなくてもいいじゃない」
指で背中を突くと、凌祐はふて腐れた顔で振り向いた。
「子供じみたって何だよ?」
「だって、やる事がまるで子供よ?」
そこまでふて腐れる理由が分からない私は、凌祐の態度に困惑気味だ。
いまいち、“地雷”の部分が分からない。
すると凌祐は、突然私の両腕を押さえ付けると、被さる様にキスをしてきた。
「これでもまだ、子供じみたって言うつもりかよ?大人じゃないと、美亜を気持ち良くする事は出来ないだろ?」
「凌祐…」
結局、凌祐の思うがままにされてしまう。
唇の重なりは、甘い夜の始まりの合図。
今夜も私の眠る場所は、凌祐の胸の中だった。