嘘の誓いとLOVE RING
隣で穏やかな寝息をたてる凌祐の左手を手に取る。
「大きな手」
締まった手に長い指が、さっきまで自分に触れていたものだと思うと、胸が熱くなるのを感じた。
そして薬指には、指輪がはめられている。
やっぱり、これを見ると妙な気持ちになってしまうのだった。
だって他人は、凌祐の左手薬指で、既婚者だと判断するわけだから。
そして、その相手は私…。
どうもリアリティが薄い。
まじまじと見ていると、凌祐の目がゆっくりと開いた。
まだ眠たそうで、ボーッとしている。
「何をやってるんだ?美亜」
「あ、ごめん。ちょっと、指輪を見てただけ」
「指輪?」
すると、凌祐は私の左手を掴んだ。
どうやら、私が自分の手を見ていたと勘違いしているみたいだ。
半分しか開いていない目で、凌祐は私の左手薬指を眺めている。
そして、ゆっくりとその指にキスをしたのだった。
「凌祐…?」
胸がときめく。
心臓の鼓動が速くなっていくのが分かった。
「美亜…」
凌祐は私の手を引っ張ると、包み込む様に抱きしめ言ったのだった。
「俺の奥さん…」