嘘の誓いとLOVE RING
「おはよう!圭祐!」
副社長室のドアが開かれ、入ってきた圭祐は眉をしかめた。
「何だよ、やけに機嫌が良くないか?」
「えっ!?まさか。普通よ」
副社長室の掃除が終わり、はたきを持った私はドキッとした。
そんなに表に出ていたのか。
ゆうべ、凌祐に言われた“俺の奥さん”の言葉は、完全に私をノックアウトした。
寝ぼけていた様で、本人は覚えていないみたいだけれど。
今朝起きた時、少し恥ずかしくて顔をまともに見られなかった私とは違い、凌祐はいつもと変わらなかったから。
それでも、嬉しかった。
どうして嬉しいのか分からないけれど、やっぱり嬉しいものは嬉しいのだ。
どうやら、それが表に出ていたらしい。
「兄貴と“イイコト”でもあった?」
圭祐はデスクチェアに座ると、ノートパソコンを開けそう言った。
「別に。それに、私が機嫌がいいのが、凌祐絡みとは限らないじゃない?」
はたきを収めると、ドアを開け秘書室へ入る。
とその時、圭祐がデスクから声をかけてきた。
「無理矢理させられた結婚でも、愛情はついてくるんだな?」