嘘の誓いとLOVE RING


ゆっくり振り向くと、嫌みたっぷりの顔で圭祐が見ている。

「どういう意味よ?」

「別に。一緒に生活していれば、愛情って沸くんだなと思っただけだよ」

愛情が沸くって、何を根拠に言っているんだか。

いちいち反論するのも面倒臭く、小さくため息だけをついてドアを閉めたのだった。

「今日は会議が入っているから…」

凌祐も一緒という事か。

何だかドキドキする。

と思い、頭を横に振った。

私ってば、何を考えているのよ。

ドキドキするだなんて、これでは会えるのが楽しみみたいだ。

“愛情はついてくる”

圭祐の言葉すら頭をかすめたけれど、それも掻き消した。

別に、凌祐に恋をしているわけではない。

ただ、ゆうべの言葉が、何となく嬉しかっただけだ。

だから、凌祐に会うイメージも良いというだけ。

「さあ、仕事、仕事」

会議の準備をしなければいけない。

役員全員分の資料を紙袋に入れて、会議室へと向かった。

秘書として二日目。

凌祐や圭祐のお陰で、リラックスして仕事が出来ている。

そんな感じがする。

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