嘘の誓いとLOVE RING


会議室は、一つ下の階にある。

廊下奥の突き当たりの部屋で、焦げ茶色の扉を開けると、明るい部屋が飛び込んできた。

焦げ茶色の丸テーブルには、席ごとにタブレットらしき物が設置されている。

「まさか、これを使うの?」

会議というと、プロジェクターで資料を映し出して…というイメージだったけれど、全然違うみたいだ。

窓から差し込む陽の光のお陰で、室内は明るい。

ここからも海が見えるのだから、もし私がここで会議をしたら、会議そっちのけで景色ばかりを見ているに違いない。

「よし!準備を…」

息巻いたはいいけれど、準備とはどうすればいいのだろう?

資料を置くだけでいいのか?

「しまった…。圭祐に聞いておくんだった」

引き返そうと身を翻した時、

「ごめんなさい。遅れてしまって」

佐倉さんが、小走りで入って来たのだった。

「佐倉さん!?どうしてここに?」

息を切らせ、呼吸を整えている。

「今日の会議は、社長主催の会議なんです。私は、今日使う資料のディスクの設置と、美亜さんに説明するのが仕事で…」

そうだったのか。

だから、圭祐は何も教えてくれなかったわけだ。

まさか、もしかして私の教育は、佐倉さんが担当なのか?

それを聞きたかったけれど、忙しい時間で聞けれずじまいだった。

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