嘘の誓いとLOVE RING
佐倉さんの手際の良さには圧巻で、室内の光具合から、窓のブラインドを調整したり、資料を置く細かい位置もチェックしたりと、完璧に準備を完了させていた。
「さすがですね、佐倉さん」
私なんて、ただ見学をしていただけだ。
何とも情けない。
すると、佐倉さんは謙虚な笑顔を見せた。
「美亜さんは、まだ慣れていないからですよ。さあ、入口で皆さまをお待ちしましょう」
「は、はい」
わざわざ、入口でお迎えするとは、よほどの会議なのだろう。
そう思って佐倉さんに聞いてみると、今日は社内の定例会議だけど、ここの慣習として行うだけだと言われたのだった。
しばらく入口で佐倉さんと並んで待っていると、廊下を歩く“お偉方”が見えてきた。
今まで、重役クラスの人たちと接する事がなかっただけに緊張だ。
“お疲れ様です”の挨拶でいいのか。
あれこれ考えていると、“お偉方”から声をかけてきたのだった。
「これは奥様。よろしくお願いいたします」