嘘の誓いとLOVE RING
奥様とは私の事か!?
「あっ、いえ。その…。よろしくお願いいたします」
まさかの挨拶に、しどろもどろの情けない返答になっている。
40代から50代くらいの重役たちは、私に会釈をすると会議室へ入っていった。
「さすがですね。美亜さん」
「いえ…。そんな…」
佐倉さんはからかう様に笑っているけれど、心ではどう思っているのだろう。
仕事が出来る人から見れば、私なんて夫の七光でこの場所にいるように見えるに違いない。
重役たちに挨拶をされる私を、佐倉さんはどんな風に見ているのか。
複雑な気持ちで立ち続けていると、程なくして凌祐と圭祐もやって来た。
圭祐は素っ気なく入っていったけれど、凌祐は私に目を向けると小さく微笑んだのだった。
それを返すように、私も小さく微笑む。
そしてドアが閉じられると、佐倉さんが声をかけてきた。
「美亜さん、お茶の用意をしましょう」
その笑顔は、どこか寂しそうで、それが私には気になって仕方なかったのだった。