嘘の誓いとLOVE RING
凌祐と唯香の秘密の過去
今夜のご飯には、塩辛い食べ物はないよ、そう言うと凌祐は大笑いをした。
本当に、あれはいけなかったと思う。
今でも後悔するけれど、凌祐は一度も責めたりはしなかった。
「凌祐…」
甘い声を遠慮なく漏らしながら、今夜もベッドの上で体を重ね合う私たち。
「美亜。美亜…」
汗ばむ体で、何度も私の名前を呼ぶ凌祐。
よくこうやって呼ぶから、きっと癖なのだろうけど、それから先の言葉を聞いた事がない。
聞きたいのに。
“美亜”。その後には、何を言ってくれるのか。
こうやって、何度も抱き合っていると、自然に受け入れる気持ちも出来てくるのだと知る。
この温もりを感じる事が出来るのは私だけ。
佐倉さんが今まで凌祐に、どんな風に関わってきたかは知らない。
だけど、これからは私が凌祐の支えになる。
癒しになる。
それが、妻の義務でもあり特権だから。
唇を重ねながら、私はそんな事を思っていたのだった。