嘘の誓いとLOVE RING
副社長秘書も、だんだんと板につき始めてきた。
最初の頃は、同じフロアにいる凌祐にもっと会えるものだと思っていたのに、実際はなかなか会えない。
「圭祐と凌祐って、しょっちゅう一緒に仕事をするわけじゃないのね」
お茶を出しついでに、デスクでパソコンと睨めっこをしている圭祐に話しかけた。
すると、圭祐は顔を向ける事なく言ったのだった。
「美亜、お前まるで緊張感がないな?」
「どう意味よそれ。結構、緊張感でいっぱいなのよ?圭祐だから、こうやって気兼ねなく話しかけているのに」
すると、圭祐はやっと顔を上げた。
「俺だから?」
「そうよ。一応、ずっと知り合いだったんだから」
そう答えると、圭祐は短くため息をついた。
「俺と兄貴は、仕事の基本が違うんだよ。そんなに兄貴に会いたいのか?」
「ち、違うって!佐倉さんに会えないなって思ってるのよ」
自分でも驚くくらいに、ムキになってしまった。
「半分図星か」
「図星って?」
「そんなにムキになるんだもんな。佐倉さんの事が気になるなら、一つ教えてやろうか?」