嘘の誓いとLOVE RING
仕事中は、凌祐と佐倉さんの事を考えるのはやめよう。
そう心を入れ替えて、一日中ただ無心で仕事をした。
そして、ようやく業務終了の時間がやって来て帰り支度をしていると、圭祐がやって来たのだった。
「なあ、美亜。昼間、言いかけた事があったろ?あれ、何だったんだ?」
「あ…。覚えていてくれたんだ」
「当たり前だろ?何か、いつもの美亜じゃないし。気になるんだけど」
圭祐は、言い方がいつもぶっきらぼうだけれど、そこには優しさもあると気付いてきた。
今もこうやって、話しを聞こうとしてくれている。
「うん。あのね、凌祐と佐倉さんの事なんだけど、決定的な証拠を掴もうと思って」
「決定的な証拠?ああ、それはいいんじゃないかな?」
圭祐は、いまいち意図が分からない様で反応が鈍い。
「だから、それを理由に離婚するのよ」
そう言うと、圭祐は目を丸くした。
「離婚!?」
「ちょっと、そんな大声で言わないで」
圭祐を睨んだ時、ドアがノックされる音が聞こえた。
「誰だろ」
アポはないし、こんな遅い時間に誰が来たというのか。
「はい…」
ドアを開けるとそこには、凌祐が立っていたのだった。
「美亜、一緒に帰ろう」