嘘の誓いとLOVE RING
車で出勤していた凌祐は、会社のビルに併設されている立体駐車場へ私を連れて行くと、そこから車に乗り込んだ。
凌祐の車も、圭祐と同じく高級車で、黒塗りのセダン型だ。
スマートな運転さばきで、あっという間にマンションへ着いたのだった。
歩ける距離とはいえ、仕事で疲れている時には車がいい。
だけど、車中で全く会話がなかっただけに、変な気疲れをしてしまっていた。
「ありがとう、凌祐。先にお風呂に入って。私、ご飯の支度をするね」
急いでエプロンを付けると、凌祐に真顔で言われた。
「いいよ。美亜だって疲れてるだろ?何か、デリバリーを取ろう」
「え?でも…」
何だか、凌祐の様子が変だ。
いつもなら、こういう時には優しい感じで言ってくれる。
それなのに、今夜は全然それがない。
素っ気なくトゲのある言い方だ。
そういえば、帰りの車の中でも、話しかけ辛いオーラを放っていた。
だから、会話も出来なかったのだ。
一体、どうしたのだろう。
「やっぱり作る。その方がいいでしょ?」
デリバリーもいいけれど、凌祐は手作りの方が好きなのではないか。
結局、そんな事を考えていた。
だけど、そんな私に凌祐は珍しく声を荒げたのだった。
「いいって言ってるだろ!無理をするなよ」