嘘の誓いとLOVE RING
思わず怯んだ私に、凌祐は我に返ったのか、気まずそうな顔をした。
「ごめん…。だけど、本当にいいから。風呂は、美亜から入れよ」
「う、うん…」
小走りでバスルームに向かいながら、心臓の鼓動が速くなっているのを感じる。
「驚いた。凌祐が、あんな風に怒るなんて…」
今夜は、佐倉さんの事で頭が一杯になるだろうと思っていたのに、凌祐の様子のおかしさで、どこかへ飛んでしまったのだった。
かと言って、見過ごすつもりもなく、圭祐と探りを入れる気持ちは変わっていない。
ついでに言うなら、離婚の意思も。
だけど、やっぱり気になってしまう。
もしかすると、仕事で何かあったのかもしれない。
それならば、私に相談してくれるだろうか。
それとも、それは佐倉さんにするのだろうか。
お風呂から上がって、何かあったのかと聞いてみたけれど、素っ気なく「別に」と言われただけだった。
“別に”なわけないのに、結局話してくれなかった事に、寂しさを感じずにはいられなかったのだった。