嘘の誓いとLOVE RING
時刻が0時を回った頃、凌祐から「先に寝てろよ」と言われてしまった。
それまでは、お互い自由に時間を過ごしていたけれど、会話はないまま。
だけど、ベッドルームへは、同じタイミングで行くものだと思っていただけに、戸惑いを覚えたのだった。
「凌祐は?まだ寝ないの?」
ソファーでビジネス雑誌を読んでいた凌祐は、視線も合わせず答えた。
「ああ。もう少しな。だから、先に寝てろよ」
「…分かった。ねえ、ビジネス雑誌を読んでるのって、仕事の為?」
私の問いかけは、凌祐には意外だったのか、ようやく顔を上げてくれたのだった。
「そうだよ」
その顔は、私の質問の意図を探ろうとする雰囲気を醸し出している。
「じゃあ、そこから得たものって、誰に教えるの?」
佐倉さんが言っていた言葉が、チラチラと頭に蘇る。
凌祐が、佐倉さんに仕事を教えていた事を。
だから、仕事を頑張っているという事を。
こうやって、今も雑誌を読んでいるのは、その為なのか。
そんな思いが溢れてきて、聞かずにはいられなかった。