嘘の誓いとLOVE RING
そんな私の質問に、凌祐は戸惑いを見せている。
「誰にって。自分の為だけど…」
それは、質問の意図が見えずに困っている様にも感じた。
それだけ凌祐は、言葉を選ぼうとしているという事だ。
なぜ?
それは、“ボロ”が出ては困ると思っているからではないか?
どうしても凌祐に、佐倉さんを重ねて見てしまっていた。
「じゃあ、誰にも教えていないんだ?だったら、私に仕事を教えてよ」
「え?何を言ってるんだよ。圭祐から教えて貰ってるんだろ?」
「それは、単純に業務の事よ。そうじゃなくて、凌祐の仕事に対する考え方。それを教えてよ。同じ会社で働いてるんだから。いいでしょ?」
そう言うと、凌祐はため息を一つ漏らした。
「そこまで、美亜が聞く必要があるか?」
「な、何で?」
佐倉さんには話している事なのに、私には話してくれないという事なのか。
凌祐の冷たい態度に、動揺する自分がいる。
「知る必要はないだろ?だいたい、俺は最初から美亜の秘書の仕事には反対だったんだ」