嘘の誓いとLOVE RING
お茶をしながらしばらくは、仕事が中心の話をしてその場を過ごした。
お義父様も圭祐も、熱心に会話をしているというのに、凌祐はほとんど会話に入っていない。
ここへ来るまでは、機嫌が良かったのに、なぜか仏頂面をしていた。
そして、あっという間に夜になり、夕飯を済ませたのだった。
正直、今日一日を、楽しいと感じる余裕はない。
もし、凌祐と佐倉さんの件がなければ、もっと違ったのだろうけど。
結局、圭祐とは出来るだけ会話を避けつつ、無難にお義父様たちとだけ会話をしたのだった。
そして、後片付けをするお義母様を手伝う為、キッチンへと向かったのだった。
最新の広いキッチンでは、私とお義母様が二人並んでも、余裕たっぷりだ。
「美亜ちゃん、気を遣わなくていいから、ゆっくりしていていいのよ?」
「いえ。なかなか、お義母様ともお会いできる事がないので」
微笑む自分が、わざとらしいったらない。
これではまるで、健気な嫁だ。
心の奥底では凌祐を疑い、離婚も考えているくせに、こんな真似を出来る自分が驚きだった。
お義母様も嬉しそうに微笑むと、流し台などを拭いている。
それを手伝う私に、ぽつりと呟く様に言ったのだった。
「美亜ちゃんは、凌祐とうまくやれてるのかしら?」