嘘の誓いとLOVE RING
お義母様は、気を取り直した様に一呼吸すると、片付けを終わらせるそぶりを見せた。
「美亜ちゃんにはね、絶対に幸せになって欲しいし、それを凌祐がしてあげられるなら、こんなに嬉しい事はないのよ。なんて、母親の勝手な思いだけれど」
「いえ、そんな…」
お義母様は、私たちに結婚を続けて欲しいと思っているのだ。
それを、ひしひしと感じて余計に後ろめたい。
すると、
「おい、美亜。ちょっといいか?」
圭祐がキッチンへやって来たのだった。
「どうしたの?」
圭祐とはいえ、今は助け舟だ。
正直、少し重苦しかったから。
「仕事の事で話しがあるだ。ちょっといいか?」
「でも、まだ片付けが…」
そう言うと、お義母様に「もう大丈夫よ。ありがとう」と言われ、圭祐とキッチンを出たのだった。
仕事の話とは、一体何だろう。
圭祐に視線を向けると、耳打ちをしてきた。
「兄貴は、仕事の電話が入ったんだ。今の内に上へ上がろう」
「えっ?」
上へ上がろうとは、どういう事か。
圭祐に連れられるがまま、2階にある部屋へと行ったのだった。