嘘の誓いとLOVE RING
奥から二番目の部屋に入ると、そこはバルコニーがあるだけの部屋だった。
家具類は一切なく、電気がついているだけ。
そこへ圭祐は私を連れて入ると、ドアを閉めたのだった。
辺りを見回す私に、「ここは、俺の部屋だった場所だよ」と教えてくれた。
なるほど、だから家具類が一切ないのか。
「それより、美亜。週末に言っていた、兄貴と離婚するとか本気なのかよ?」
何を聞いてくるのかと思えば、その話だったとは。
「本気よ。もちろん、佐倉さんとの関係次第だけど。それにしても圭祐、こんな場所で聞かなくてもいいでしょ?お義父様たちに変に思われる」
不満顔を向けると、圭祐も嫌みいっぱいの顔をした。
「だから、こうやって聞いてるんだろ?オヤジたちは、兄貴と美亜にうまく言って欲しいんだよ」
「だから、その為に私に我慢しろと?愛のない結婚をさせられた挙げ句、夫の裏切りにも目をつむれと?」
詰め寄る私に、圭祐は言葉を失っている。
何か言いたそうだけど、言葉を飲み込んでいる様にも見えた。
「離婚なんてさ、やろうと思えばいつでも出来るんだ。すぐに答えを出す必要はないだろ?」