嘘の誓いとLOVE RING


圭祐は、なぜそんな事を言い出したのだろう。

だいたい、佐倉さんとの関係を探ろうと言ってきた張本人ではないか。

その事実の内容次第では、“離婚”という文字が頭をよぎっても自然だと思うのに。

「結局、圭祐は私と凌祐に結婚生活を続けて欲しいわけ?」

睨み上げると、圭祐は開き直った様に私を見下ろした。

「そもそもさ、簡単に離婚なんて考えていいのかよ?美亜たち、ヤル事はヤッてんだろ?」

「はぁ!?何を言い出すのよ!」

苦し紛れに、言い出したとしか思えない発言だ。

「そんな事を答える義務はないと思うけど?」

ほとんど照れ隠しで、語気を強める。

すると、圭祐は顔色一つ変えずに言ったのだった。

「大事な事だろ?離婚した後、妊娠してたなんてなったら、どうするつもりだよ?」

「えっ?妊娠?」

そうか…。

そういう可能性もあるわけで…。

「ちょっと、待って圭祐!それなら、佐倉さんにだって当てはまるじゃない」

「佐倉さんに?」

「そうよ!だって私たち、まだ結婚して一ヶ月も経ってないのよ?もし、ギリギリまで関係が続いていたら?」

今さら妊娠だなんて、そんな事だってあるかもしれない。

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