嘘の誓いとLOVE RING
「凌祐!?」
慌てて圭祐から離れたけれど、凌祐の顔は一気に険しくなった。
「あれ?兄貴、もう仕事の話はいいのか?佐倉さんだったんだろ?」
そんな圭祐の質問に凌祐は答える間もなく、私の前へ大股で近寄ると、強引に腕を掴み引っ張った。
その勢いで、前のめりになる。
「痛っ…」
凌祐は、顔をしかめる私にも無視をして、腕を引っ張り部屋を出た。
そして、奥の部屋へ連れ込むと、ドアを閉め鍵を掛けたのだった。
ここも空き部屋だ。
おそらく、凌祐の部屋だったのだろう。
いくら出入りをしていた家とはいえ、プライベートまでは足を踏み入れた事はないから、二人の部屋までは知らなかった。
凌祐は戸惑う私を壁に打ち付けると、逃げ場を塞ぐ様に両手を壁についた。
「圭祐と何をやってたんだ?」
「あれは…。ただ、虫が入ってきて。驚いて抱き着いただけよ」
怖い…。
凌祐のこんな怖い雰囲気は初めてだ。
説明する声も震えてしまう。
すると、凌祐は鼻で笑うと引き攣った笑顔を浮かべた。
「そんな言い訳、信じると思うか?何か二人は、怪しいと思ってたんだよな」