なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
「なっちゃん!」
私の思考を遮って店長が突発的に名前を呼ぶ。大声で。
「声大きいですって。今一瞬お店の中がしーんとしたじゃないですかっ」
と、小声で言えば、『人のことなんか気にしてられっか』と返され、私は更に撃沈と。
「あんたしばらくそこで暮らしなさい」
「っっっはーーーーー!!!」
ガタンとテーブルを叩いていた。
「声大きい。みんな見てるー」
目を細めて、さっき私が言ったままの言葉をそのまま言って、私は『ごめんなさい』と周りに頭を下げる。
「だってだって、だって、何ですかそれ。スタジオに泊まっていいよって言ってくれないんですか」
「誰が言うかね」
「ひどいー。帰るとこないですよ」
「ま、そこは安全地帯だからそこにいた方がいい」
「また無責任なぁ。どこら辺が安全地帯なんですか。それにその言い方ー。もー」
「もーじゃない。牛かっ。そっくりそのまま返すわよ。はい、ビール! よろしくっ!」
ジョッキを持ち上げて店員さんを呼ぶその態度に安心感を覚えるも私の眉毛は八の字になりっぱなし。
「もしかして店長なんか知ってるとか?」
「知らない」
淡い期待は一瞬で崩れ去った。