なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】

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「ただいま戻りましたー」
 
 ドキドキを隠しつつドアを開ける。

 あー、またそうやって手だけを振ってお帰りっていうんですね。

 慣れましたけど、声聞きたいってのもある。


 リビングに行けばそこにはラフな格好の萩原さんがいて、

 いて、

 いて、


 先に1人で始めてるしっ!




「おかえり」

「...!!! ただいま」戻りました。


「楽しかった?」

「はい」

「店長とよくでかけんの?」

「たまにですかね。気が合うし、なにかとお世話になりっぱなしです」

「そうなんだ。おいでー。飲もう」

 こっちおいでって手招きされたら、はい、従います。

「なんか、新鮮ですね」

「は? シャンパン? 今開けたとこだからだろ」

「違いますよ」


 このシチュエーションがです! と、言ったあとに言わなきゃよかったとまた後悔。

 そっか、新鮮なのかと独り言を言って、嬉しそうに笑って、シャンパンを注いでくれる萩原さんを見てたら、なんだか抱きしめたい衝動にかられる。


 萩原さんて、もしかしたらもしかしたら、かわいい性格なのかも。

 とか思ったりして。


「はい、乾杯」
「乾杯」

 やっぱ、おいしいなぁ。

 二人で飲むから美味しいんだろうなきっと。

 

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