なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
そして残念なことに彼はちょいちょい出てきては、一瞬ではける。
んー、今度会ったら開口一番聞いてやる。今度こそ忘れないように気をつけないと。
なんて思ってたら、走りながらこちらへ向かって引き返してきて、私の目の前で止まった。
「どうした...の?」
「聞くの忘れてた。夏菜ちゃん明日空いてる?」
明日はとくに予定は無い。萩原さんもいないし、特別やることはない。
「その感じだと何もないよね? いきなりで悪いんだけど、明日のパーティーに一緒に行ってくれないかな」
「...パーティー? そんなところ行ったことないし、それに...」
「ヨガで有名な人も来るみたいだよ。遅い時間までやらないし、普通の格好で問題ないパーティーだから。俺パートナーいないから一人で行かないとならなくてさ。おねがい!」
この前の借りを返すにはいいかもしれない。
困っていた私に救いの手を差し伸べてくれたのは冬山君だし、今、彼は困っているから今度は私が助ける番だ(一緒にパーティーに行くだけなんだから大したことじゃないけど)
「うん、分かった。いいよ」
「やった! ありがとう! じゃ明日18時にロビーに迎えに行く」
「うん」
「仕事は大丈夫?」
「大丈夫。明日は早朝レッスンからで14時には終わるから」
「よかった」
迎えに行くって言葉に、萩原さんにメールで言われたことが重なって、
知らぬ間に私の中で萩原さんの存在が大きく大きくなっていた。