なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
なにやってんの私【最終復讐計画】愛すること
真から連絡が来たのは丁度仕事が休みで、萩原さんと出掛けていたときのことだ。
誰からのメールだ? とか、誰からの電話だ? とか、そういうことは一切言わない人だってことも最近分かったこと。
メールの着信に気づいたのはコーヒーショップに入って今観た映画について話をしていたときのことだった。
私がメールをチェックしている間、萩原さんは静かにコーヒーを飲んでいる。自分の電話をチェックしたりとか、そんなことはぜんぜんしなくて、ただのんびりとしていた。
すみません...と言えば、大丈夫? と聞かれ、曖昧に頷いた。
「なに? 言わなきゃ分からないよ」
「...はい」
「...分かった。なんでも聞くから言いたくなったら言って」
「......」
「夏菜?」
「あのっ...」
実は今月末までに敷金を払えと言われていたんですけど、その期日が、今日でした。
更に、真のメールには今日夕方までに持ってこいと書かれていた。
「おまえ、そいつになんかしたの?」
「...していないと思います」
「何もなくてそれはおかしくないか。なんなんだそいつは」
私のことなのに、同じくらい一生懸命に考えてくれて、真剣に悩んでくれる。
そんなところにキュンてきて、思わず抱きしめたくなる。
「...ん? ここ、欲情するとこ?」
「ちがっ...してませんからね」
「ふーん」
赤面している顔をそらしたけど視線は泳いでいて、動揺しているのがすぐに分かる。
「夕方行くなら俺も行くよ」
「え? でも...」
元カレなんですけど、いいのかな。
そういうのって会いたくないものなんじゃないの?
「どんなやつか見てみたいし、何を考えてんのかだって見りゃ分かるだろ」
一緒に来てくれるのならそれはすごーく心強い。
一人で行くのはちょっと怖かったから。