なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
公園にはあかりちゃんが一人両手を胸の前に組んで、不安そうにしながらぽつんと立っていた。
真の姿はどこにも見えない。
私たちが公園に入ってきたことが分かると、ぱっと笑顔に変わってぺこりと頭を下げた。
「よかった! 一人で公園ってなんか怖かったから早く来てーって思ってたところなんです」
薄暗くなってきている公園に女性が一人で立っているのはやはり好ましくないだろう。そして、避けたほうが安全とも言える。
「ええと、でもなんで井上さんがここに? 真は?」
「え? 秋川さんが渡すものがあるからここに来てって言ったんじゃないんですか?」
「......なんですかそれ」
「違うんですか? 真さんにそうやって聞いてるんですけど。さっき用事が入って電話をしなきゃならないからってことで、私に代わりに行ってきてって言われて...」
また始まった、この意味不明な嫌がらせ。
でももう免疫もあるから、大丈夫。
と、自分に言い聞かせる。
「あのね...あんまり言いたくないんだけど、ちゃんと言ったほうがいいと思うから...言うけどね...」
真からの連絡の内容をメールを見せながらあかりちゃんに説明する。
なにやってんの私。
バカみたい。
理不尽に振られた元カレの今カレに事の成り行きを説明していて、その隣には私の今カレが黙って立っていて。
このシチュエーション、耐えがたい。
私はどこまでお人好しなんだろうか。